優等生だった部下が、上司になって悩むこと。

子どもの頃から新入社員の時期に至るまで、真面目な優等生として評価されてきたタイプが、年齢を重ねて部下をもったときに、「部下が付いてこない」、「部下が仕事をきちんとしないので困る」、という悩みを抱えることがあります。

自分が真面目さと優等生ぶりで評価されてきたので、部下にも同じものを求めてしまって要求が高くなるというのもあるのですが、それ以前に、上司である自分自身が「優等生として評価された部下」の頃を忘れられずにその立ち位置に留まってしまい、管理職としてどうもうまくいかないという状況を作ってしまうのです。

優等生だった部下が、そのままスライドして優等生な上司になっても、それでは上下の関係がうまくいきません。「優等生すぎてしらける」とか「面白みがない」というふうに思われてしまう可能性もあります。

たとえば、子どもの頃に「素直でかわいいね」といわれたそのままの性格や態度を、大人になって体現している人がいるとしたら、「自己中で、変わっているね」と思ってしまうこと、ありますよね(^^;)。同じ性質や行動でも、立場によって受け取られ方は変わってきます。

過去にうまくいっていたパターンだからこそ、なかなか変えられないものではありますが、今の立場に自分を合わせていくことも、組織の中では必要になってくると思います。そして、それが、上司としての学びのひとつではないでしょうか。

部下に合わせる、ということではなくて。与えられている役割に徹するという意味で、自分の在り方を考えてみることも必要だと思います。

部下の言い分に対して、「仕事場にそういう要素は必要ではないでしょう」と正論をいっても、そう受け取らないから、そう反応するわけで、水掛け論になり仕事が停滞してしまいます。

ちょっと遊びの部分を許すとか、ユーモアのある振る舞いも意識するとか、そうした工夫で部下がよい仕事ができるように導いていくことも、ときには必要だと思います。

きっと、かつての上司も、そうしてくれていたのではないでしょうか。だからこそ、優等生な仕事ぶりがうまくかみ合って、高い評価をいただくことができていた、と思うのです。

優等生な上司なら、同じように優等生な部下に「できて当然」と思いますから、高い評価をしてくれていた、ということは、そこに余裕があってのことだと思います。そうでなければ、いくら出来が良いといっても、新人がそうそう活躍できるものではありませんからね。

自分の過去の仕事ぶりを部下に求めるのではなく、かつての上司の仕事ぶりを自分に当てはめていく、ということも、こうした場合の取り組みとして有効な方法だと思います。上司の存在というのはありがたいものですね、そうしていつまでも、経験と記憶が、自分のやるべきことを導いてくれるのですから。

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