具体的な思考をするには、言葉で置き換えるという作業が効果的。

ただなんとなく、言葉にならないような「抽象的な思考」が習慣になっている人は多いものです。

たくさんの時間を掛けて思考をしているのに、なかなか行動に移せないとか、時間だけが過ぎてしまうことが多いなら、「具体的な思考ができているか」という点を考えてみてください。

行動ができない理由は、思考が具体的でないことが関連しているケースも、実に多いのです。

思考を、文章化してみるといい。

抽象的な思考の中身は、だいたい2つにわけられます。「自分では、感覚的にそれを把握している(が、抽象的である)」場合と、「自分でも、そのことをとらえきれていない(ために、抽象的である)」場合です。

前者については、その内容をなんとか近い言葉に置き換えていくことは、慣れればできるようになります。言葉に置き換えるということは、意味を当てはめるということですから、その分だけ具体的になりますよね。

その思考にピッタリな言葉ではなくてもいいので、なるべく近い言葉を探しながら、文章化して考えてみます

こうした「頭の中での、言葉への置きかえ」作業をすると、曖昧なものに輪郭が与えられます。

そうすると、自分がそのことに意識を向けやすくなります。記憶にも定着していくようになりますから、その後の、いろんな知識や経験と結びついて、厚みがでてきて、より思考が具体化されていくようになります。

適した言葉への置きかえが、スムーズに早くできるようになると、「具体的な行動」へと結びつけることも、スムーズに早くできるようになりますね。

しかし、この置きかえ作業が、いとも簡単にできる人もいれば、そうでない人もいます。

そうでない人は、「そういう思考のしかたに慣れる」ことですね。回数を重ねていくと、コツがつかめてきて、だんだんと早くできるようになります。

言葉をたくさん知っていると、置きかえが得意になる。

思考を言葉に置き換える作業が得意な人とは、「内容に適した言葉を、当てはめるセンスが高い」ことと、「言葉を、たくさん知っている」ことが関連してきます。

2つの条件がどちらも当てはまる人は、どんどん思考を進めたり広げたりしていけます。思考は、具体化するほど、次に繋がって前進しやすくなるものだからです。言葉(に置き換えた思考)が、次の言葉(に置き換えた思考)に、連鎖していくような感じですね。

置きかえが苦手な人は、白黒つけたくなるもの。

しかし、2つの条件のうち少なくとも1つが苦手だと、置き換える言葉を探すことや、結びつける作業がスムーズにいきません。

時間が掛かりますし、考えることは消耗しますから、そうなると、言葉に置き換えるプロセスが面倒になりますよね。

前進しない思考に関わっていることがイライラするので、白黒つける、○×をつけるという形で、その思考に一区切りつけたくなります。

消耗とイライラから自分を解放したくなるのは当然のことで、そうしたプロセスをとばして結論にいきたくなってしまう思考パターンが、白黒つけたくなるというあらわれになるのです。

言葉に置き換えるほど、具体性が増す。

思考を進めていくというのは、言葉へ置き換えて認識していく作業であるという、しくみを知ると、とり組みがしやすくなります。

全体像がわかると、理解を助けますよね。

頭の中にある思いについて、「言葉による表現」「文章による表現」をすることで、具体性が増していくものであるという、

このしくみも、言葉の置きかえによって理解に繋がっているはずです。

自分の知っている言葉の表現から、適したもの、近いものに当てはめて、言葉としてあらわしてみるというプロセスを経て、理解が深まって、言葉とともに思考が具体的になっていくんですね。

置きかえ作業に慣れると、難しくはない。

今まで、こうした思考のしかたに慣れていない人でも、練習すればできるようになります。回数を重ねるうちに、自然と根付いていき、意識しなくてもそうなっていきます。

たとえば、日常でのちょっとした思考を、誰かに説明するかのように、思考を言葉に置き換えていくというのもよい方法です。

「山田さんの様子は、まるで数年前の自分の姿を見ているようで、そうしたくなる気持ちがわかる」とか、

「あの件について、自分は理解が半分くらいだったなあと、今になってみると反省点がいろいろでてくる」というように、

具体的な言葉に置き換えた「思考」を、頭の中で組み立てていくようにします。

慣れるまでは、声に出すか、紙に書くなどして「実際にアウトプットする」作業を伴わせるほうが、やりやすいと思います。なれてくれば、頭の中だけで置きかえができるようになります。

そのうち「こういう感覚」が「それ」なんだなと、わかってくるようになります。

気づいてみれば、難しいことではありません。

そうした普段からの思考パターンが馴染んでいくと、全体的に、「思考が言葉に置き換えられて具体化していくこと」にごく自然に繋がっていくということです。

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