自分の良いところや、得意なことは自覚しにくいものです。なぜなら、それらは「自分にとっては、当たり前で普通のこと」だからです。
誰にでも、他人から「いいな」「羨ましいな」と思ってもらえる部分を、いろいろ備えているものです。自分からみて当たり前で普通な要素の中に、実は、そうした良いところ、得意なこと、秀でているものが、含まれているんですね。
こういうことを教えてくれる、気付かせてくれるのは、自分以外の「他人」です。
人との関わりの中で、違いを認識したり、評価されたり褒めてもらえたりすることで、「自分のこんな部分が、相手からみると良く見えるらしい」とわかっていきます。
私の経験上、このようなことがありました。
2011年に骨折して入院していたときのことです。だいたい、似たような年代の人が同じ病室に集められていましたが、数日間だけ、80代の女性が同室になりました。
その方が、なんども「あなたの髪の毛は、いいね」と、うらやましがるのです。
最初、何を言われているのか意味がよくわかりませんでした。高齢のために、話が飛躍しているのかと思ってしまいました。が、その方は、私の髪の毛が「多い」ことを「いいね」と言っていたのです。
確かに私の髪の毛は、普通の2倍くらいの量があります。入院中に看護師さんに洗髪をしていただいたときに「髪が多くて洗えない!」と若干、キレ気味に言われたくらいです。
私は子どもの頃からずっと、この髪の量に悩まされてきたので、「髪の毛が多くて、良い」という感覚を持ったことがありませんから、褒められても、何のことを言っていらっしゃるのか理解するまでに時間が掛かりました。
女性用の部分カツラのCMがある・・・ということは、女性でも年齢が上がると幾分薄くなっていくということなのでしょうけれど、あまりに髪の毛が多すぎて悩まされている私には想像を絶する世界の話で、知識としてはわかっているつもりでも、ちゃんとわかっていませんでした。このもっさりとした(笑)髪を、うらやましいと言う人がいることが衝撃でした。
私にとって、髪が多いことは、ずっとこうなので「当たり前で、普通」で、・・・そしてどちらかといえば「困っていること」に分類されます。しかし、お年を召した方からみれば、このもっさりが「うらやましいこと」だったんですね。
あの方のひと言がなければ、私はこの優位性?に、あと10年くらいは気付かなかったかもしれません。
これは半分冗談のような内容ですが、「自分では普通と思って意識していない、他人からみたら優れていること」はたくさんあるはずです。「人」がそれを教えてくれて、気付かせてくれます。
人との関わりは、自分を知るためにも、とても大切なことなんですね。
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