小さいお子さんをもつ方から、「子どものお友達関係がうまくいかないとき、親としてどう対応したらいのか、わかりにくくて困っている」というご相談をいただくことがあります。
そのたびに思うのですが、「昔の、子供たちの人間関係」と、「今の、子供たちの人間関係」は、時代が反映されている違いがみられます。
今の子どもたちの世界は、大人のミニチュア版
昔の時代は、「子ども同士の関係」と、「大人同士の関係」には、いろいろ違いがありました。関心をもつ対象も、話題となることも、使う道具や機器も違っていたと思います。
けれど、今の時代は、幼い頃からたくさんの物質と情報に囲まれて育つことが、普通になっています。
そうした時代ゆえの特徴があって、今の子どもたちの関係は、とっても大人びていて、とっても複雑です。
好きだとか嫌いだとかの、感情で判断する子どもらしい付き合いのトラブルならわかるのですが、大人の社会顔負けの損得勘定がお互いにあったり、まるで、「大人の世界のミニチュア版」的なトラブルも、よくあるようなのです。
もちろん昔もそうした大人っぽい感性の子は、一定数はいたと思います。しかし同時に、とっても子どもらしい、素朴な雰囲気の子や、がさつで乱暴な子もいて、それらを含めてわかりやすい「子どもらしさ」があったと思います。それが、良いことだったのかは、わかりませんが笑。
しかし、今の時代は、そういう子は少なく、とてもきちんとしていて、賢くて、昔にはない素晴らしさもあるのだけれども、その分、複雑にもなっていて、昔の時代なら、子ども同士でこんな悩みを抱えたりしないだろうなあと、思うような状況に直面してしまうこともあるようなのです。
そういう状況で子育てをする「今の時代の、お母さんたち」も、かなり大変そうです。「自分の子ども時代と、あまりに違い過ぎて、子ども同士の会話ややりとりに驚かされる」という方は少なくないようです。
自分の子ども時代より、プラス2~3歳を想定する。
たとえば、会社で新人が入ってきたら、「自分もかつては、こういうことがわからなかったなあ」などと、過去のことを参考にしながら、指導したり、フォローしたりしますよね。
親の立場からの、子どもに対しての接し方も、「自分がこの年の頃には、こんなことに関心があった」とか、「こういうふうにされたら、嬉しかった」という経験をもとにして動いている部分があると思います。
ところが、今の時代は、子ども同士の関係性が、昔とまったく違うので、「自分が子どもの頃は・・・」が当てはまらないのです。
今の子どもたちが、昔とくらべて、明らかに精神的に大人かといえば、そういうことでもないと思います。
しかし、物や環境が与える影響は大きいようですから、お母さんが子どもの人間関係について考える場合は、「自分が同じ年だった頃よりも、もう少し上の年齢を想定して、解釈する」ほうが、現状に当てはまるケースもあるようです。
自分の過去と、子どもを、重ねてしまわないこと。
ものごとを理解するためには、比較をすることが有効です。
そのため、自分の子どもの頃はこうだった、ということを参考にするケースが多いのでしょうけれども、それは、理解するための便宜上の基準で在ることを忘れないようにしましょう。
親子であっても、それぞれ「別の個性をもった、別のたましい」の存在ですので、同一にとらえないように、意識をしておきましょう。
ときどき、子どもへの思い入れが強くなると、自分の子どもの頃と重ねて、必要以上に不安になったり、心配になったり、もっとこうしたほうがうまくいく、なぜそうしないのかと、強要したくなる気持ちがでてきてしまうケースがあります。
特に、女の子の場合は、自分と重ねてみてしまうことがあり、自分のこどもの頃の「ようす」ではなく、「感情」を重ねてしまい、苦しくなったり、焦ったり、怒りが出てきてたりして、自分も混乱し、子どもも混乱させてしまうことがあるのです。
親子だから似ている部分はあっても、別の個性をもった、別のたましいの存在です。自分の子どもの頃と、同じところで、同じ感情を抱くとは限りません。
そして、無意識に、子どもを助けることで、過去の自分を救おうとしてしまうこともあります。
「当時の自分がしたかったこと」や、「今の自分なら、こうするだろうと思う、望ましいこと」を、子どもを使って果たそうとしてしまうこともあるんですね。
過去の感情が十分に癒されていなかったり、折り合いがつけられていないときに、そういうことが起こります。
それでは、子どもをとりまく現状を、楽にしてあげようとしているはずが、むしろ複雑にしてしまいますよね。
まとめると。
・今の子どもをとりまく状況は、大人の社会のような複雑な関係がある。
・自分の時代より、プラス数歳を想定してとらえるのが合っている。
・しかし、自分の子ども時代の感情を重ねすぎないこと。
・親と子は、たとえ似ていても、別の個性をもった別の存在である。
・自分がかつて抱いた感情を、子どもを使って解消しようとしないように。
こうした点を意識して、今の子どもたちの状況に見合った、親の立場からの見守りやフォローをしてあげることが大事ですね。
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