選択の場面では、何かしらの苦しさはつきもの。

人生の中で、どちらがいいか選べない、考えるほどにわからなくなる、という場面にしばしば遭遇するものです。

その中には、選択肢のうちのどちらを選んでも、何かしらの苦しさがあり、楽な選択肢がないから、というケースは多いと思います。

苦しみのない選択肢が仮にあるなら、すんなり決まって悩みも迷いもしないでいられます。

自分のことだけならともかく、その選択をすることで、自分以外にも影響が及んでしまい、他人にも苦しい思いをさせてしまうかもしれない・・・などと考えると、ますます答えがでにくくなります。

たとえば、安定した企業で働くことを辞めて、起業したい気持ちがあり、踏み切るかどうか悩んでいる場合、「今の仕事を辞めて、夢を叶える喜びはあるとしても、本当に大丈夫だろうか、生活が成り立つだろうか、家族にも迷惑をかけるかも・・・」と思うと、苦しくなります。

かといって、現状維持という選択肢をとるならば、「夢に向かうことができない、計画してきた労力と時間が無駄になる気がする」、という、気持ちの上での苦しさがやはり出てくると思います。

どちらを選んでも、その選択肢なりの苦しみがあります。だからこそ迷うのであり、苦しみがない選択肢があるならば、迷わずそちらに向かうものであり・・・、それがないからこそ、今の状況に至っている、

という構図を、わかっていると、気持ちが少し整理されます。

遠回りの思考をしなくて済むからです。

どちらを選ぶにしても、その選択肢から苦しみだけを取り出して、いいとこ取りをすることはできず、それも含めて考えるしかない、というトータルで考えていく視野をもつことができます。

その上で、「苦しみを含めて、選択肢を引き受ける覚悟」をもてるかどうか、そこが考えどころだと思います。

その覚悟ができなければ、一方を選べないので、上記の例でいれば、新しい仕事に踏み出すこともできず、かといって、現状の仕事で納得する気持ちも持てず・・・、結局、「今のまま」つまり、「どちらも選べずに、悩み続ける」という意味での現状維持しかできなくなってしまいます。

言い換えれば、「どちらを選んでも苦しみが伴う、という苦しみ」と、「どちらも選べず悩み続ける、という苦しみ」との、選択の場面でもあるのかもしれません。

そう考えると、どうなっても(どちらを選んでも、またはどちらも選ばなくても)、多少は苦しいのであって・・・、最初からそう言うものだと分かっていれば、少し気持ちが楽になります。

その状態で、選ぶ選択肢が、その時点でのベストだと思います。

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