一日は24時間で、身体はひとつであることは変えられないので、なんでも自力でやろうとしても限度があります。
どんなに能力が高くて、作業が早く、同時にいくつもの事柄を推し進めていける人でも、上限をこえて作業をこなすことはできません。
たくさんのことをやろうと思ったら、作業を他人に任せるという割り切りが必要になりますが、これがとても苦手な人がいます。
自分できっちりやりたい完璧主義の人です。
完璧主義な人は、すべてを自分でやりたがる。
他人に任せるということは、労力的には分担して楽になるようでも、管理する負担や、やりとりの手間は増えてしまうことになります。
自力が大きくて完璧主義な人は、そういうことを遠回りに感じます。すべてをチェックして質を上げたくなり、目の届く範囲で作業を完結させようとします。
他力の価値がわからないわけではないのだけれども、自分でやったほうが想定外が少ないという点に、もっと高い価値があると思ってしまうのです。
そうなると、どこまでもおわりなく忙しくなる上に、すべてが一人に降りかかりますから、作業が円滑に進みませんね。
そういうことを何度か経験したら、考え方を変えて、他人に任せるという形で質を上げるという方向に思考をしてみることがよいでしょう。
一部分を任せるようにしてみる。
他人に任せるといっても、何もかもをお願いする必要はないので、どうしても自分にしかできないところは手元に残し、そうでないことを割り振ればいいのです。
そして、自分はより重要なところへ労力を集めていくことで質を上げると考えていけばいいです。
いままですべてを自分でやっていた人にとって、そのうちの「どの部分をお願いするか」という判断は難しいことなので、いくつか段階を設けていくといいでしょう。
まずは「自分が行っても、他人に任せても、精度がそんなに変わらないようなこと」を、自分から切り離します。
まったく同じにできなくても、そんなに大きな違いはないなら任せてお願いしよう、と気持ちの上で割り切りやすいからです。
この段階では、まだそんなに楽にはなりませんね。自力が大きい人にとって、「誰がやってもできることは、自分ならいとも簡単にできること」ですから。
しかし、そうしてアウトソースすることに慣れておくことが、さらに先の何かに繋がるものなので、まずは最初の一歩としてやってみることです。
できるのに(自分が)やらないことが怠けに思えたり、できるのに(他人に)任せることが無駄に思えたりしてしまうのが完璧主義の人ですけれど、
そうして作業を切り離していくほうが、時間や労力の余裕がつくられ、全体の「質」が上がる場合もあるというふうに、メリットを見いだしていくようにしましょう。
そして、自分にしかできないことや、自分と他人では仕上がりに格段の差がついてしまうことに、力を注げるような形をつくりあげるのです。
いい仕事をするためには、そういう割り切りもとても大切なことです。
信頼して任せられる実力者を探しておく。
他人に任せるときの、相手選びも大事です。特に完璧主義の人は、質が下がることはストレスになりますから、信頼の置ける仕事をしてくれる相手を探しましょう。
この作業なら山田さん、あの作業なら田中さんというふうに、仕事の質が高い人や、知識をもっている人を探すためのアンテナを、常にはっておくことですね。
全体をひとりで作業をする場合の質は、自分がするのが一番であっても、ある範囲の一部分を抜き出してとらえるなら、その分野のスペシャリストに任せるほうがうまくいくこともあるというふうにとらえて、
全部をやろうとする気持ちを少し緩めて、
自分を楽にしていきましょう。そのほうが、全体の底上げになることは多いです。
コメント