仕事にかかわる時間は、一日の大部分を占めるため、私たちはつい、「仕事」と「生き方」 を、同じものであるかのように重ねて受け止めてしまうところがあります。
仕事をすることと、生きること(生活すること)には密接な関連があり、切り離すことはできませんが、しかし、私たちは「生きるために、生活の手段として仕事をする」のであり、この二つは、別の要素なのです。
仕事は、生きるうえでの「手段」であり、生きる「目的」は、仕事だけではないはずです。この区分けをきちんとつけておくことが大切です。
仕事でとても悩んでしまう人は、「実際に、仕事がとても大変」である場合と、「仕事以外に、人生の目的や生き方のビジョンがつくられていない」場合とがあります。
後者の場合は、自分が、人生で何を成し遂げたいのか、どう生きていきたいのか、生きることを楽しむ趣味や付き合いなどの、仕事以外の要素が少ないことから、仕事の悩みが強くなります。
そちらの要素が、充実していれば、たとえ、仕事で多少の苦労があろうとも、他のことでバランスがとられていきます。
ところが、楽しみや生き方のビジョンが作られていない場合は、自分の中で、仕事という要素の占める比率が高くなりますから、仕事の悩み(実は、それが、さほど大きなものではない場合でも)が、そのまま、生き方の悩み、人生の悩み、であるかのように、置き換えられてしまうわけです。
人生についての目的意識があいまいになったり、仕事以外の要素が少なすぎたりすると、仕事という、本来は、生きるための手段であるはずのものが、目的にすり替わってしまいます。
仕事は、生きるために必要であり、とても大切なものであるのは確かです。しかし、仕事が、人生のすべて、ではありません。仕事を通して、自己表現をしていく要素もありますが、仕事を通さない自己表現や生き方の部分があってもいいのだし、また、そうしてバランスを取っていくことが望ましいとも思います。
仕事以外に、打ち込めるものや、楽しみを感じられるものを見つけていくことも大切です。
それ以外に、意識を向けられるものがあると、仕事に対する意識の比率が下がります。仕事を一生懸命にやるのが悪い、ということではなく、それが一番の関心事になってしまうと、仮に仕事に不満や心配事が発生してしまうと、生活のすべてが低調になったかのような受け止め方になり、やる気がなくなったり、必要以上に悲観的になり苦しくなる、という状況を招いてしまうことにもなるからです。
仕事以外に、力を注ぐ対象を持っていると、ときに仕事がうまくいかない時期があっても、それはそれ、と割り切って、気持ちを切り替えることもできます。
そのほうが、バランスがとられて、適性な労力の配分がなされるため、仕事も含め、いろんなことが、うまくいくことも多いのです。
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