大人になるほど、難しくなる人間関係。

人間関係というのは、若いうちのほうが簡単で、年齢が重なっていくほどに難しくなるものです。

なぜなら、若いうちの人間関係は「シンプルな、ひとつの立ち位置」で、大人になるほど、「相対的な立ち位置のバリエーション」を、考慮しなければならなくなるからです。

相対とは、「他との関係で、成立していること」です。他との比較から、関係性と、自分の立ち位置がきまるようなことですね。

あの人より自分のほうが背が高いとか、この中では自分が最も新入りだとか。

田中さんが上司で、自分はその部下である、とか。

組織が存在して、上司がいるからこそ、その下の部下という役割が発生します。何も組織も上下関係もないところに、部下という序列はいきなり存在しません。

若いうちは、こうした立場がシンプルです。ほとんどの場面で、「自分が一番下」になります。

学校にいけば生徒で、家族内では子どもで、会社にいけば部下で、いろいろな場面があるようでいて、しかし「自分が、一番下」という共通点があります。

年齢を重ねて大人になれば、自分も部下を抱えるようになります。自分も子どもを持つかもしれません。当たり前のことだけれども、年齢という単純な序列でも、自分より下の層が増えていきます。

自分とは、実家では「親の子ども」であり、自分の家では「子どもの親」であり、「部長からみれば部下」であり、「新人からみれば上司」であり・・・、というふうに、その場面ごとに、いろんな役をやらなければならなくなります。

自分の親に対しての子どもとしてのふるまいと、自分の子どもに対しての親としてのふるまいはまったく違いますよね。その時々で、上になったり、下になったり・・・、それはもう、使い分けが忙しくなります。

社会との関わりの場面が多くなるほどに、「その場での自分の立ち位置」も、比例して多くなります。

自分が備えている幅ひろい要素のうち、何を前面に出してふるまうかの判断を瞬時に行い、臨機応変に切り換えていかなければならないですから、普通に一日を過ごすだけでもくたくたになります。

ですから、大人になるほどに、あらゆる人間関係において、難しさがでてくるのは当然のことで、「そういうもの」です。

立ち位置のバリエーションが増えるほどに、負担は大きくなるけれど、しかし、若い頃に、「下というポジションにいさせてもらった」ことはありがたいことで、そこは「順番」ですので、今度は自分も、上の立場として頑張っていこうという意識をもって、いろんな役割にとり組んでいきましょう。

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