ある事柄について、思考をして答えを出す、ということは、「自分の知っている知識や経験に、その出来事を結びつけて、自分なりの答えを出していく」という、流れになっていくと思います。
思考というのは、ほとんどが、そのような「結びつけ」「関連づけ」によって行われます。
たとえば、「アメリカの主食は、日本と違って、米ではない」という「知識」を持っていれば、「アメリカ人の友人が、米を主食にしている」という話を聞いた場合に、「へえ、それはめずらしいことだね」という、思考による判断ができます。
アメリカの主食がパンだと知らなければ、同じ話題を聞いても、「ああ、そうなのね」としか反応できません。「めずらしいね」と思うことができるのは、知識があるから、です。
たくさんの知識や経験があれば、それに基づく判断ができます。結びつける項目がたくさんあるので、その中から、最もふさわしいものを選ぶという、幅広い解釈ができることになります。
思考が得意な人、会話が上手な人は、知識が豊富であるのと、知識と出来事を「結びつけて解釈する力」が発達しているので、その状況に適した判断をしたり、話題や受け答えを選んだりできます。
少ない知識しかないと、思考の際に、結びつけられる項目が少ないので、「考えても、分からない」「考えても、答えが出せない」という状況になりがちです。それでも無理に少ない知識を結びつければ、極論や飛躍のような、「無理なこじつけ」になることもあるでしょう。
思考をしてふさわしい答えを出すためには、「結びつける力が発達していること」が必要ですが、その力を発揮するための、必要項目となる「知識」も大事です。どちらが十分でなくても、適切な答えを出しにくくなります。
思考が苦手、どのように考えたらいいのか分からない、考えても答えが出せない、という人は、「自分には、結びつける力がない=思考力がない」というふうに解釈して、悩んでいることが多いけれど、必ずしもそうとは限らず、単純に、知識が少ないために、思考の力を発揮できないだけ、というパターンもあります。
知識や経験は、思考の力を底上げしてくれます。
思考が苦手という感覚は、もしかしたら、知識や経験を増やしていくことで、解消できる要素かもしれませんので、そういう観点からの努力もいい方法だと思います。
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