過去の(今は継続していない)人間関係について、「あのときもっと、こんなふうにしていたら、違った状況の今があったのではないか」とか、「今の自分の感覚で、あの頃に戻ったら、もっといい関係で付き合うことができただろうに」と、思ってしまうことがあるものです。
誰もが心の中に、そうした「思い残し」を少しは抱えているのではないでしょうか。
20代くらいまでの、自分自身の変化が大きい時期は、そこまで深く考えることは少ないかもしれません。過去よりも、未来の比重のほうがずっと大きく感じられるからです。
けれど、30代以降になると、これまで積み重ねてきた過去の経験値が、自分の中で大きな存在感を伴ってきて、比較する材料が増えますから、考え方が変わっていくようになります。
そして、人間関係の大切さもわかってくるようになります。人の存在によって、自分が気づかされ、学ばされているとわかるのは、そのくらいの年齢からでしょう。
そういう時期にふと、もっとあのときにこうしていたらよかったとか、今なら簡単にわかることを、わかっていなかった頃の自分にできるなら教えたいと思ったり、もしも、こうなっていったら・・・と、いろいろ考えてしまうものなのです。
この世には、時間という変化のしくみがありますから、時間とともに、すべては移り変わっていき、自分の経験に対する自分の解釈もまた、その時点での自分の解釈へと置き換わっていきます。
今になって思えば、もっと違うやり方があったと思えるような関係も、その時点ではお互いに最善を尽くしていたはずで、だからこそ「今、過去をふりかえって、そう思える自分がいる」ということです。
そして、さらに時間が経つと、また別の思いに置きかわっていき、いつかは「あの経験があったから、今の自分がいる」とか、「あのときの失敗や後悔が、その後の自分の知恵となってくれた」と思える瞬間もくるでしょう。
人間関係については特に、「自分の側の都合だけで起こるものではないのだ」というしくみがわかってきて、気持ちの割り切りもできるようになりますね。仮に、過去に戻って自分が変わったとしても、相手を変えることはできない以上、思っているような結果になるとは限らず、これはやはり、そうなるべくしてそうなったのであり、だからこそ今があり、過去から学んで得た知恵を、今にいかしていくことが大事だと、そう思えるようになるのです。
コメント
リカコさん、はじめまして。
いつも心に響く記事をありがとうございます。
つらい出来事があって、年月を重ね、やっと
「あの経験があったから、今の自分がいる」と思えるようになりました。が、
戻れるならあの時に戻って、もう一度やり直したい…という気持ちのままでした。
「仮に、過去に戻って自分が変わったとしても、相手を変えることはできない以上、思っているような結果になるとは限らず、これはやはり、そうなるべくしてそうなったのであり、だからこそ今があり、過去から学んで得た知恵を、今にいかしていくことが大事だと」いう一文が、とても素直に自分の中に入ってきて、とても穏やかな気持ちになりました。心から感謝いたします。
かい様
年月を重ねて、時間が経過してくることで、距離ができて
客観視がなされるようになって、やっと少しずつ以前の出来事についても
考え方が変わってくるものです。
時間というしくみは偉大なものですね。
今得られている気づきは、今だからこそのもので、
時間をかけて獲得なさった、成長の証しなのだろうと思います(^_^)。